2012年12月14日金曜日

beArt展~POPCORN KIDSの"想造力"~について


 高度経済成長期の住宅需要増加に応じて開発が始められた多摩ニュータウンは、現在では、広大な緑地や歩車分離構造が整備された、住宅地として「無難」―難点の無い―な街となっています。多摩ニュータウンの住民たちにとって、自分たちの街の最大の魅力であり特徴となるのはこの「無難」さです。しかし、マスメディアや一部の知識人は、この「無難」さこそが、多摩ニュータウンの弱さだと捉えています。その代表例としては、ドラマ「金曜日の妻たちへ」が挙げられます。同ドラマは、核家族の交流とそこで起こる不倫を題材としたドラマです。そこで家族たちの暮らしの場として撮影に使われた多摩ニュータウンは、人々にとって「平穏で理想的の生活」の場であるがゆえに、同時に物足りなさも、もたらす場所として捉えられていました。
このようなイメージの違いがある中、私たちが行ったフィールド調査で浮かび上がってきたのは、「無難」な街だからこそ、元気いっぱいに遊んでいるこどもたちの姿でした。


こどもたちのそうした姿からインスピレーションを得て私たちが企画したのが、「beArt展~POPCORN KIDSの想造力~」展です。本展では、写真・映像・ワークショップを用いた作品を中心にして、POPCORN KIDSが多摩ニュータウンで発揮する“想造力”の世界を表現します。こうしたPOPCORN KIDSの世界観は、外部からの視点による偏った多摩ニュータウン像を払拭するものであるともに、大人たちも心躍るような新たな多摩ニュータウン像ともなっています。



POPCORN KIDS”は、多摩ニュータウンで暮らすこどもたちを表しています。多摩ニュータウン内で遊ぶこどもたちの姿がまるで、“フライパン”の上で、勢いよく弾ける“ポップコーン”のようだったことから名付けました。“想造力”とは、多摩ニュータウンで育まれたPOPCORN KIDSたちの想像力と創造力を掛け合わせた造語です。大人とこどもでは、同じものを対象として見ていても、そこから想像・創造するものは大きく異なります。例えば、公園においても、こどもたちは豊かな想像力を活かして、公園内のオブジェに楽しく愉快なあだ名を付けたり、砂場に行けばその砂で立派なピラミッドを作るなどといったように、公園内にあるものを使って思いのままにさまざまなものを創造していました。それが、POPCORN KIDSの想像・創造の力です。

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